子供達が学校から帰宅したある日のこと。
シャワーを浴びたり、宿題をやらせたり、夕飯前の忙しい時間。
そんな中、5歳次女が
「ママ?!明日、学校にお花を持っていくんだって!」
と言って来た。
「お花?何で?」
と私が聞いたが、次女はそこまでわからない様子。
10歳長女に確認すると
「明日はエライ人が来るから、体操着で行く日だけどスカートの制服で
行かなきゃいけないんだって。でも、お花を持って行くなんて言ってなかったよ。」
と言う。
私は何度も次女に向かって
「本当にお花を持って行くの?先生、何て言ってたの?」
と聞いた。
次女は
「プルンニー (明日)ドッグマーイ (花) アウマー ナ(持って来てね) って言ってたよ!」
と教えてくれた。
私は
「おお!一語一句、聞き取れているのか!スゴイぞ!」
と思いながらも、本当に花を持って行くのか疑っていた。
何故なら、特別な持ち物がある場合はお手紙が来るからだ。
次女のカバン中にはお手紙が入っていない。
長女も、花を持って行くことについて知らない。
私は次女が聞き間違えているのかもしれないと思って
「お花を持って行くんじゃなくて、先生が用意してくれるから、
エラい人に渡すんじゃないの?」
と聞いてみた。
「先生、お花持って来てって言ってたもん!」
と言い張る次女。
そんな大事な持ち物だったら、前以てお手紙があるはずだし
どんな花を用意すればいいのかもわからない。
我が家は既に夕飯を食べ始めていたし、この日は10歳長女が帰宅後になって
熱があるのが発覚したりで、その時間から外に出て行くのは厳しかった。
しかも、夜には花屋も出ていない。
具合の悪い長女を早めに寝かせるためにバタバタ家事をこなしているうちに
私はすっかり花のことを忘れてしまったのであった。
そして翌朝。
長女の熱は下がらず、学校は休むことにした。
次女に朝ご飯を食べさせていると、再び
「今日、お花持っていくんだよ。」
と言う。
私は花のことを思い出し、本当に花を持って行くのであれば用意してあげないと
いけないと思った。
朝6時。
友人のペンに電話をし「今日は花を持って行くのか」と確認した。
ペンは
「そうよ!明日は先生の日で学校はお休みよ。だから今日、学校で先生への
感謝のイベントがあるのよ。生徒から先生にお花のプレゼントをするのよ!」
と言う。
そうだったのか!
その時初めて事情を知った私は、何としてでも花を手に入れなきゃ!と焦った。
私はある程度次女の学校の支度を終わらせてから、市場へ出掛けるために1歳三女と外へ出た。
既に外にいた大家さんは「どこへ行くんだ?」と驚いている。
私が事情を説明すると
「その辺に咲いてる花を摘んで行けばいい」
と言うが。。。
ペンから「バラがいいと思う」と聞いてた私は
「先生へのプレゼントだから。。。買った方がいいと思う。」
と返事した。
大家さんは
「早朝から市場は始まってるよ!急げ急げ!」
と見送ってくれた。
外はまだ暗く、道路には人も少ない。
市場はやっていても、こんな朝早くに花が売っているだろうか。。。
「花が売ってなかったらどうしよう!手ぶらで行く次女の気持ちを考えると
あまりにも可哀想だ!」
と思い、私は全速力で自転車をこいだ。
まだ暗いから顔もよく見えないし、人も少ないからよかったものの
1歳児を背負い前かがみになりながら、競輪選手のような勢いでママチャリをこぐ姿
は恥ずかしいものである。
まだ周囲の店は閉まっていたが、市場の辺りは明るかった。
市場に到着すると、既に人がたくさんいて、買い物で賑わっている。
「これなら花屋も開いてるだろう」
とホッとして、花屋目掛けて一目散に歩いた。
「やった!花屋発見!」
私は花屋のおばちゃんに
「すみません!バラを下さい!」
と言って、ピンクのバラをゲットした。
これで一安心!
私は30秒足らずの市場での買い物を済ませ、再び自転車をこいだ。
帰りも同じく、競輪選手のように。。。
信号にも引っかからず、市場から家までノンストップ&猛スピードで走った。
バラを買えたことで私は急に嬉しくなり、朝の空気が気持ち良くウキウキした。
私は早くバラを次女に見せたかった。
家の外に到着すると
「買えたか?い?」
と大家さんの声が聞こえた。
「買えたよ!」
と私は返事をして家の中へ急いだ。
家の入り口で私の帰りを待っていた次女に
「お花、あったよ!」
と言うと
「やった?!」
と嬉しそうな次女。
「間に合ってよかった。。。」
と心からホッとした。
そして無事に朝7時のスクールバスで、学校に行った次女。
大事に花を抱えていた。
早朝から花を求めてドタバタな一日のスタート。
私は、タイに「先生の日」なんてものがあるのも知らなかったし
花をプレゼントすることも知らなかった。
「お手紙で連絡くれればいいのに」と思ったがタイでは周知のことなのかもしれない。
今回は、「前夜のうちに花を用意できない状況」でもあったため、仕方ないのだが
それより私は次女を信じてあげなかったことを申し訳なく思うと同時に
「次女が先生の言ってることを理解している」ことにとっても驚いたのだった。
私は次女が乗るスクールバスを見送りながら
「あなたのタイ語力を甘く見てました。。。ママの知らないうちに、あなたはタイ語が随分
わかるようになっていたんだね。」
と心の中で謝った。
私はタイ語について、長女には教えて来たが次女には全く教えて来なかった。
だから、次女のタイ語レベルもさっぱりわからないし、勉強のない幼稚園時代は
タイ語が出来なくても大丈夫だろうと考えていた。
次女は私が想像している以上に、実はタイ語がわかっているのかもしれない。
スピーキングはまだ単語レベルだが、ヒアリングはそこそこ解っているのかもしれない。
スタートは長女より出遅れているが、次女にも少しずつタイ語が身に付き始めている。
「子供の能力をナメてはいけない」と自覚したワタシである。。。
そして夕方。
帰宅した次女に
「先生にお花渡せた?」
と私が聞くと
「先生、めっちゃ喜んでたよ!」
と嬉しそうに教えてくれた次女。更に、
「みんな1本だけど、私はたくさん渡したから先生が喜んでたの!」
と言った。
次女によると、バラの花は一人一本でよかったらしい。
知らなかった私はミニ花束を用意してしまったのだった。
しかし、そのおかげで先生はとても喜んでくれたみたいだし、次女も自信を持って渡せたようで
結果的にはよかったようだ。
メデタシ!メデタシ!
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