大家さんからの贈り物

三女の入院から帰宅した我が家。
家に着くと、大家さんが外にいたので
「退院できたよー!」
とみんなで大家さんに声をかけた。
大家さんはとても喜んで
「よかった!安心したよ!」
と言ってくれた。
ぐちゃぐちゃのまま、飛び出してきた我が家は
もちろんぐちゃぐちゃのままだ。
長女と次女に手伝ってもらいながら
部屋を片付けたり家事をしていると
「おーい!」
と大家さんがやって来た。
大家さんは
「ニンノン(大家さんの愛犬)が寂しがっていたよ。」
と言いながら、三女の元気な姿を本当に喜んでくれた。
そして
「ここに座りなさい」
と言って、三女を隣に座らせると
ポケットから紐を出した。
「これはお寺でお坊さんに唱えて貰った紐だから
お寺に行ったのと同じ効果があるよ」
と言って、三女の手首に紐を結んでくれた。
ひも1
この紐は仏陀からのお守りみたいなもので
お寺に行くと我が家も結んでもらっているものだ。
三女の手首に紐を結びながら
何やら唱える大家さん。
三女の健康と丈夫な体を祈ってくれているようだった。
本当にお坊さんのようだ!
三女の次は、次女。
次女の次は、長女。
長女の次は、私。
と年齢の小さい人から行うという順番もあるようだった。
我が家全員に新しい紐を結んでくれた大家さんは
子供達が今まで付けていたボロボロの紐を
手で切ってくれた。
「ハサミで切ってはいけないよ。手で引っ張って切るんだよ。」
と教えてくれた。
そして、切って外したボロボロの紐を庭の木の枝に乗せた。
ひも2
「紐は絶対に捨てたり踏んだりしてはいけないよ。
自然になくなるまで、こうして木にひっかけておくんだよ。」
とも教えてくれた。
我が家の健康、子供達が元気に丈夫な体に成長するよう
いつも見守ってくれている大家さん。
「大家さんって、本当に私達のこと、心配してくれているんだよね。
ありがたいよね。」
と私が言うと
「ママ!タイに来て、いい人に巡り合えたね!
大家さんと出会えて、ママは幸せだね!」
と長女に言われた。
本当にその通り!
この大家さんだからこそ、私はこの家に居たいと思うのだ!
「入院費が高くてさ・・・」
なんて私が愚痴ると
「そのおかげで元気になったんだからいいじゃないか!
お金をケチってずっと心配したり、長引いたりするほうが
大変だろう。入院費なんてマイペンライさ!」
と言う大家さん。
そう言われて、私も何だかスッキリした。
大家さんから結んでもらった紐。
大家さんの気持ちが詰まっている。
自然に切れてなくなるまで、ボロボロになっても
大切につけていたいワタシである・・・。
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