留学ビザ取得への道ーその3

翌朝。
ほとんど眠れなかったワタシ。
明け方やっとウトウトし始めたところで、子供達3人ともに起床。
まだ5時半。。。早過ぎる。。。
9歳長女の体調は相変わらず、悪い。
吐き気は治まらず、昨日から何も食べていない。
水分も取れていない。
動くのもしんどいようだ。
「午前中はゆっくり寝てていいから。午後から少しだけ頑張って!」
と私は励ました。
今日は留学ビザが受け取れるのか、まだ作業や面接があるのか、全く検討がつかなかった。
もし何か作業をするのであれば、タイの家に帰宅できるのは遅い時間になるだろう。
長女の体力は持つだろうか。
そんな不安な私にお構いなく、4歳次女と1歳三女の「お腹空いたコール」が始まる。
ホテルのレストランに朝食を食べに行った。
格安ホテルだったため部屋はそれなりだったが、ホテルのレストランから見るメコン川の眺めは最高だった。
ラオス2
朝日を浴びるメコン川を見ながら、子供達を遊ばせつつ朝食を待つ。
ラオス1
子供達に朝食を食べさせながら、私は思った。
ビザを取るためにこれまで一生懸命準備してきた。
そして昨日一日、出来ることは精一杯やった。
また今日、すべきことをやればいい。
成るようにしか成らない。
私はコーヒーを飲みながら、ビザについてこれ以上考えないようにしようと思った。
部屋に戻り、9歳長女の様子を見る。
ハアハア苦しそうに息をしている。
私はフロントへ行き、9歳長女の容体を話し、ホテルの近くで薬を買えるところがあるか聞いて見た。
答えは「NO」だ。
困ってる私を見て、フロントのお姉さんがバイクで薬を買いに行ってくれた。
私はもう一人のお姉さんに
「部屋で待っている」
と告げ、部屋に戻った。
「今、ホテルの人が薬を買いに行ってくれてるから、もう少し待ってて!」
と私は長女を励ましながら、薬が手に入るのを待った。
待った。待った。待った。。。
しかし。
1時間以上経っても、薬は来ない
「バイクで出掛けたのは薬を買いに行くためじゃなかったの?私の勘違い?」
と確認しにフロントへ行った。
「あの。。。薬は。。。」
と言ったら、買って来たビニールごとすぐに薬を渡してくれた。
「もう買ってあるなら教えてよ?!部屋で待ってるって言ってるんだからさ?!」
ラオスもタイと同じく待ってても無駄だということがわかった。
そしてこの薬。
「粉薬を150ccの水に溶かして飲む」というタイプ。
水を一口飲むのでさえ、気持ち悪くて苦労してるっていうのに、150ccも飲める訳がナイ!
ダメだ。。。この薬は期待出来ない。。。
部屋に戻り、一応薬を作って長女に渡す。
やっぱりムリ。。。飲めない。。。一口で終了。。。
だんだんチェックアウトの時間が近付いて来てしまった。
私はホテルに事情を説明し、タクシーが迎えに来る午後1時まで部屋を使わせてもらえないかお願いし
ギリギリまで長女を寝かせておいた。
そして1時。
時間通り、タクシーが迎えに来た。
何とか長女もタクシーに乗り込む。
20分ほどでタイ大使館へ到着。
タクシーの運転手のオジちゃんは
「ビザの受け取りが終わったらラオスの出国ゲートまで送ってくれる」と言う。
昨日と同じタクシーのオジちゃんだから、9歳長女の容体についても知っている。
「もうビザ受取の番号札が配られてるから、早く取っておいで。子供達はタクシーの中で待ってていいから」
と言ってくれた。
私は
「実は昨日のビザの申請がまだ終わっていない。2時半に来るように言われてる。
まだあと1時間以上も待たないといけないし、運転手さんも長く待たせてしまうがそれでもいいか?」
と確認した。
「大丈夫だ。早く番号札をもらっておいで!」
と言う運転手のオジちゃん。
私は長女のことを考え、昨日の女性面接官に、アポの時間を早めてもらえないか
ダメモトで聞いてみようと思いタイ大使館へ向かった。
すでにビザ受取の番号札が配られている。
ビザの受取は1時半から始まるため、番号札を貰った人達で入り口は混み合っていた。
私が番号札を貰いに窓口へ行くと、昨日コピーを手伝ってくれた新人のお兄さんが配っていた。
「昨日、ビザの申請が終わらなくて。。。今日は2時半に来るように言われたんですけど。。。」
と言うと
「わかってます。とりあえず番号札を。」
と渡された。
番号は56番。
順番通りだとしても、しばらく待たされる番号だ。
9歳長女のことが気になりながらベンチへ向かう私に、新人お兄さんが追いかけて来た。
「すいません。あなたは番号札は必要ないです。1時半なったら中で待ってて下さい」
と言ってきた。
やっぱり!私だけみんなと違うんだ。。。仲間外れなんだあああ!!」
と分かった。トホホ。。。
ビザの受取が最後の一人まで終わったら、私の番が来るのだろう。
外で待ってる間、背負っている1歳三女に話しかけてくれる旅行者達。。。
みんな旅行やらロングステイやらでハッピーな様子なのに、私だけションボリ。。。
そして1時半になり、ビザ受取会場の扉が開く。
番号の早い人達が一斉に中に入る。
番号札の必要ない私もさっさと中に入った。
1番の人から順番に、ビザとパスポートの受け渡しが始まった。
タイ大使館の職員は皆忙しそうだ。
私の担当だった女性面接官も新人お兄さんも動き回っている。
私は
「このまま番号が進んで行くのを眺めていても仕方が無い。
2時半まで待たねばならないのか、もう少し早めてもらえるのか、それだけでも確認しよう」
とビザ受け渡しとは別の、隣の窓口に行った。
中を覗くと新人お兄さんが気付いてくれた。
「ちょっと待って」と合図をくれた。
そして、旅行者に返却するパスポートの群れとは別のカゴの中をゴソゴソやっている。
どうやら我が家のパスポートはそっちに入ってるらしい。
「またパスポートを突き返されるのか???
今回、留学ビザが取れないならもう仕方が無い。ビザより9歳長女の体調の方が心配だ!
さっさとタイに帰ってやるううう!」
と覚悟した。
そしてお兄さんがパスポートを持ってくる。
「本人のパスポートかどうかの確認をして下さい。」
とパスポートの写真ページを見せられる。
「ハイハイ。確かに我が家4人分のパスポートですよ?」
と自棄になる私のココロ。
そして
「これが昨日お支払い頂いたビザ申請料の領収書です」
とニコニコしながら渡してくれた。
「んん!?領収書??
あまりのあっけなさに理解できなかったワタシ。
「領収書=ビザ申請料を受け取ってくれた=ビザを発給してくれた、ってこと?」
「つまり留学ビザが取れたってこと?」
「コワイ顔の女性面接官は?何か質問されなくていいの?」
「この後、どこ行けばいいの?」
「え?帰っていいの?」
意味がよく分からないワタシ。。。
とりあえずこの場を離れようと思い、新人お兄さんに両手を合わせ深々とお礼をし、外へ出た。
人がいないところでパスポートの中を見て見る。
ビザのシールが貼ってあるではないか!!
ビザの種類は。。。
「ED」
留学ビザだ?!
そして私と1歳三女には保護者ビザ
家族全員分のビザが取れてる!
「やった?!」
思わず口に出して喜んでしまったワタシ。
頑張ってやって来た甲斐があった!
昨日、女性面接官に突き返されても、粘ってみてよかった!
これで学校側にも、協力してくれたタイ人ママのペンにもいい報告ができる!
何と言っても、一年はタイから出国しなくていい!
こうして、念願の留学ビザを手に入れることができたのだった。
メデタシ!!メデタシ!!
ビザ
私は早く子供達に報告してあげたくて、待ってるタクシーのオジちゃん元へ急いで行った。
「ん?タクシーがない!
焦って探すが見当たらない。
他の客引きのタクシー運転手がたくさん声を掛けてくる。
私はタクシーのオジちゃんの名前と電話番号を控えていたので
「この人はどこにいる?」
と運転手仲間に聞いた。
すると
「もう行っちゃったよ。だから俺のタクシーに乗れ!」
とまだ声を掛けてくる。
「いやいや、そのタクシーに娘が乗ってるんだよ!」
と説明し、私は誘拐されたかも!と思って
急いで運転手のオジちゃんに電話をした。
「どこにいるの?!」
と強気で言った。
するとオジちゃん、
「もう終わったのか?早かったな!今から行くよ?」
と言って、すぐ来てくれた。
「ああ!誘拐じゃなかったんだ!良かった。。。」
と一安心。。。
タイ大使館前は長時間駐車できないため、車を移動してたらしい。
それにしても私にはかなり焦る出来事だった。
私はすぐタクシーに乗り込み、子供達に留学ビザが取れたことを報告した。
留学ビザどころではない9歳長女。
「お腹空いたコール」が始まる4歳次女。
私の背中でスヤスヤ寝てる1歳三女。
。。。誰も一緒に喜んでくれない。。。当たり前か。。。
とりあえず、4歳次女にエサ、いや、昼ご飯をあげなければならない。
私はタクシーのオジちゃんにお願いし、どこでもいいからご飯屋さんに寄ってと言った。
オジちゃんお勧めのレストランでチャーハンをテイクアウトし、すぐタクシーに戻る。
後部座席は、横たわる9歳長女と大荷物で家族4人で座るにはギュウギュウだ。
私は眠ってる1歳三女をおんぶしながら、4歳次女の口にチャーハンを運びながら考えた。
何で私だけ、2時半に来るよう言われたかはわからない。
でも、今日番号札を渡されなかったのは、私の番を優先してくれる為だったんじゃないだろうか。
9歳長女が具合悪いこと、1歳児を連れてること、それらを考慮して
私が待たなくていいように配慮してくれたのではないか。
そんな気がして来た。
きっと女性面接官の采配だろう。
私は彼女に心からお礼が言いたかったし、出来なかったことを残念に思った。
4歳次女がチャーハンを完食してまもなく、ラオスの出国ゲートへ到着。
子供達をタクシーで待たせてくれたり、昼ご飯の調達に付き合ってくれたり、
昨日からお世話になりっ放しのタクシーのオジちゃん。
なのに、誘拐犯として疑われてしまったタクシーのオジちゃん。
私は丁寧にお礼を言い、サヨナラをした。
さあ、後はタイの家に帰るのみ!
9歳長女よ!もうひと頑張り、頼む!!
しかし。
ラオスの出国ゲートは長蛇の列。
9歳長女は並ぶことも出来ずにベンチにうなだれている。
私は9歳長女を置いたまま、1歳三女を背負いながら4歳次女と一緒に列に並んだ。
そして4歳次女に「我が家の番が近付いて来たら9歳長女を呼びに行く」役目をお願いした。
順番が近付き、私が
「もうすぐだから、お姉ちゃんを呼んで来て!頼んだよ!」
とお願いすると
「おねえちゃあああ?ん!!」
と大声をあげながら走り去って行く4歳次女。。。
周りの視線は気になるとこだが、立派に役目を果たしてくれた!エライぞ!
そしてフラフラしながら9歳長女が合流。。。
そんなことを、ラオス出国ゲートとタイ入国ゲートで繰り返し、ようやくタイに帰って来れたのだった。
しかーし。
我が家の旅はまだまだ終わらない。。。
一難去ってまた一難」がやってくるのだった。。。
続く。
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