初めての入院ーその1

我が家の「留学ビザを取得する旅」。
無事に目的は果たせたものの、9歳長女が体調を壊すという最悪の条件での旅となった。
タイへの入国ゲートを通過し、ようやくタイ国内に足を踏み入れた我が家。
一刻も早く、家路に着きたい私達。
いや、一刻も早く、このまま病院へ向かうことに決めた。
ゲートの向こうで、旅行者を待ち構えている客引きのタクシー運転手達。
私は迷わず
「タクシー!タクシー!」
と声を掛け、私達が住む街の名前を告げた。
もちろん運転手は高値を吹っかけて来る。
私は安値で交渉する。
ここから自宅までだいたいいくらで行けるか知っている私は
彼らの言い値は高すぎて納得行かなかった。
しかし、のんびり値段交渉してる暇はない。
9歳長女は立つこともできず、地面に座り込んでいるのだ。
一刻も早く病院へ行きたい。
私は納得行かないまま、おじいちゃん運転手の後について行った。
タクシー乗り場へ向かう途中、おじいちゃん運転手が話しかけて来た。
私はよく聞き取れなかった。
すると、9歳長女が苦しそうに
「車を持ってくるからここで待っててって言ってるよ」
と通訳してくれた。
「ええ!具合悪いのによく聞き取れたね!すごいじゃん!」
彼女のヒアリングレベルに驚かされたワタシ。。。
参りました。。。
すぐに、おじいちゃん運転手は車を持って来てくれた。
だが。
その車、ツードアのトラック型だった。
後部座席が狭いのだ。
私は9歳長女を広々と横にさせたかったので
「セダンじゃないの?娘が具合が悪いから広い車がいいんだ。これじゃダメダメ!
だったらもう少し安くして!」
と言った。
しかし、ニコニコしながらもおじいちゃん運転手は聞く耳持たず。。。
ドアを開け、私達の荷物を車内に積んでしまう。
9歳長女も
「この車で大丈夫だよ。。。」
と言ってくれたので、私は諦めてトラック型タクシーに乗った。
おじいちゃん運転手に、私が住む街の大きな病院の名前を告げた。
病院の場所を知っているようだ。
高値なのが気に入らないまま、私は
「急いでね!」
と少々強く言った。
通常より高いお金払うんだから、病院まで早く行ってもらわないと困る!
おじいちゃん運転手は
「わかったわかった」
と言ってくれた。
が。
の、のろい。。。
もう一度私は
「娘が具合悪いから、急いでね!」
と言ってみた。
だが、それでも。。。
お、遅い。。。
どんどん後ろから追い越されて行く。
見れば時速50キロ。。。
私は思わず
「遅いな?」
と口に出してしまった。もちろん日本語で。
後部座席の長女を見ながら、気持ちが焦る私。
昨日から飲まず食わずだから点滴コースかなあと予感した。
ノロノロ運転、いや、超安全運転のタクシーに揺られながら
私はタイ人ママのペンに電話をした。
留学ビザが取れたこと、ペンのサポートに感謝してることを告げた。
そして学校の先生にも報告を兼ねてお礼に行きたいことを告げた。
ペンはとても喜んでくれた。学校へお礼に行く時は一緒に行こうと誘ってくれた。
私は本当にありがたかった。
おじいちゃん運転手のタクシーでやっと病院へ到着した。
少々高値だが、病院へ辿り着いた安堵感もあり、料金のことはどうでもよくなった。
時間は夕方4時を過ぎていた。
急いで受付へ行くが、時間外のため閉まっている。
通りかかった看護婦さんに、娘が具合悪いことを告げた。
看護婦さんに案内されながら、病院内へ入る。
院内にいる看護婦さんに、長女の様子を質問された。
一日10回近く吐き続けた娘の状態を告げると
「まあ!大変!」
と、看護婦さんは急いで診察の準備をしてくれた。
私はその場で、長女の診察券を作ってもらう。
長女は車椅子で診察室に運ばれる。
「時間外」って待たなくていいからステキ?!といつも思うワタシ。。。
そして長女と一緒に診察室へ入った。
このお医者さん、以前4歳次女も診てもらったことがある先生。
その時もやっぱり「時間外」だった。。。
先生は私と4歳次女のことを覚えていたらしく、フレンドリーに話してくれた。
だが、この先生。
タイ語しか話せない。。。
昨日からの一連の流れ、長女の容体についてタイ語で説明し
先生からの説明もタイ語で受ける。
うーん、難しい。。。
先生は
「お腹の病気でしょう。点滴の必要があるため、2、3日入院しましょう」
と言った。
「点滴は覚悟してたけど、入院か?。しかも2、3日。。。」
ちょっとショックだったが、病気だから仕方ない。
お願いします、と言った。
そして。
9歳長女の初めての友達であるセンディのお母さんジアップがこの病院の看護婦であることを
知っていた私は、そこにいた看護婦さんに
「ジアップはまだいますか?娘の友達のお母さんなんです。」
と聞いてみた。
しばらくするとジアップが現れた!
知った顔を見ることができ、私は安心した。
ジアップは、入院手続きを手伝ってくれたり入院に必要なものを教えてくれた。
そして
「子供は付き添いが必要よ。だからあなた達家族全員で入院するのよ。」
と言うではないか!
「ええ?!私達も?全員で?」
なんてこった。。。
家族みんなで病院にお泊まりなんて。。。
ラオス帰りでもうクタクタなのに、自宅に帰れないなんて。。。
そしてジアップは
「家まで送迎してあげるから、入院の準備をしに帰りましょう。」
と言われ、私は4歳次女と9歳長女を病院へ残し、一旦家に帰った。
家に着くとすぐに大家さんが出て来た。
私達の帰りが遅いから心配してたんだ、と言ってくれた。
私は「長女の具合が悪いこと」「帰宅せず病院へ向かったこと」「そのまま入院になってしまったこと」を
大家さんに説明した。
大家さんは子供達のことをとても心配してくれた。
私はすぐ病院へ戻らなければならないことを伝え、急いで家の中へ入り、入院の準備をした。
しばらくして、またジアップが迎えに来てくれた。
センディも一緒にいる。長女に会いたいそうだ。
病室で食べる我が家の夕飯を買いに、市場へ寄ってもらった。
夕方の市場は昼間とは違って多くの屋台で賑わっている。
いつもの私ならワクワクするはずだが、この時の私は疲労困憊MAXだったため
食欲ゼロだった。
そしてこの日も、朝ラオスのホテルでコーヒーを一杯飲んだきり何も口にしていないことを思い出した。
とりあえず4歳次女と1歳三女が食べらそうなものを買う。
私は自分が何を食べたいかさえもわからなくて、センディにオススメ料理を教えてもらい
センディの好物を買って帰ることにした。
私達は急いで病院へ戻った。
外は既に真っ暗である。
9歳長女が入院している病棟は新しい病棟でとってもキレイ!
日本の病院よりオシャレ!
病院のイメージがなく明るい!
疲れた私のココロにはそれだけが救いだった。
9歳長女が入院する病室へ入る。
すでに点滴を打たれてる長女。
これで飲まず食わずでも大丈夫だと思い、私は心から安心した。
そして。
「ママ?!このホテル、また泊まりた?い!!このホテルキレイなんだも?ん!」
「ラオスのホテルよりこっちにすればよかったじゃ?ん」
と全く事情が分かっていない4歳次女。。。
この病室には、冷蔵庫やレンジ、テレビやデスクやソファーや食器など一通りのものが揃っている。
トイレも水洗だし(←コレ貴重)、部屋も広い!
そりゃそうだ。。。
この病棟は新しく増設された病棟で、我が家が入院するのは特別個室なのだから!
お値段が違うのですよ、ハイ。
ラオスで泊まった超リーズナブルなホテルの3倍もするお値段。。。
しかし「家族入院できる部屋はここしかない」と言われたのだから仕方が無い。
予想外の出費だが、キレイで明るい部屋の方が長女の気持ちも晴れるだろう。
せっかくセンディが会いに来てくれたが、9歳長女は話す元気がない。
でもお互い顔を合わせて嬉しそうだった。
4歳次女の「お腹空いたコール」が始まる。
4歳次女と1歳三女に、買って来た食事を食べさせた。
結構時間が経ってしまった。
ジアップとセンディが帰ることになり、私は何度も何度もお礼を言った。
「困ったことがあったらいつでも連絡ちょうだい」
と言ってくれるジアップに、私は感謝の気持ちでいっぱいだった。
やっと家族だけになった病室。
子供達が眠くてグズり出す前に、シャワーを浴びさせなければならない。
その前に、私は急いで食事を取った。
きっと美味しいはずのタイ料理、私は流し込むだけで精一杯だった。
食事を終え、シャワーを浴び、寝る準備完了!
だが。
9歳長女が横たわるベッド以外に、寝具はソファーひとつ。。。
付き添い一人だったらこのソファーで十分だけど、家族3人ではとてもじゃないが小さすぎる!
ということで、4歳次女にはタオルケットを敷き、床で寝てもらうことにした。
それでも、1歳三女と添い寝で寝るには狭すぎるこのサイズ。。。
余計に疲れそうなこのサイズ。。。
早く家のベッドで寝たかった。。。
子供達はあっという間に眠りにつく。
今日一日、大変だったもんな?と振り返る。
ビザは取れたし、長女は点滴も打ってるし、私の心は幾分軽くなった。
残る心配事はあと一つ。。。
「入院代、いくらかかるの???」
である。
9歳長女の回復力を信じながら、横になるワタシ。
さあ、「留学ビザを取得する旅」はいつ終わるのだろうか。。。
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