初めてのお留守番

私と三女だけノービザだった我が家。
三ヶ月ほど前から
「5月になったらママと妹だけでラオスに泊りに行かないといけないの。
一回寝るだけだから、2人で留守番よろしくね。」
と言い聞かせてきたワタシ。
「わかった。でも大丈夫かなあ。。。ご飯とかどうすればいいの?」
と不安げな長女と
「ええ?ママが居ないなんてヤダよ?一緒に行く?」
と駄々をこねて来た次女。
そんな会話を繰り返し続けて来たが、いよいよ「その日」が近づいて来た。
数日前から、寝る時になると泣き出す次女。。。
「ママがいい? 一緒に行く? 」
私と長女で毎晩なだめ、次女だけでも連れて行こうか、と悩んだこともあった。
でもここは、心を鬼にして置いていくしかない!
2人で留守番してもらおう!
と決めた。
私は前以て、近所の日本人ママや大家さんにお願いしておいた。
日本人ママは、我が家がタイに来てからずっと近いお付き合いなので、気心がしれている。
当日の朝ごはんと昼ごはんは私が用意して行くので
「当日の夕食を買ってきてもらうこと」「翌日の昼ごはんを買って来てもらうこと」を
お願いした。
大家さんには、ちょこちょこ様子を見に来てくれるよう、お願いした。
長女には、
①夕飯を食べたらゴミ捨てに行くこと
②食器を洗うこと
③食べこぼしを掃き掃除すること
④寝る前に炊飯器のスイッチを入れ翌朝ご飯が炊けているようにすること
⑤寝る時、エアコンをOFFタイマーにして寝ること
⑥火は使わないこと
⑦門の外に出ないこと
を約束させた。
しっかり者の長女は、忘れないようメモを取っているようだった。
りか2
私がお願いしたことができれば、あとは好きに遊んでいいことにした。
2日分のおやつも買いに行き、お菓子も好きに食べていいことにした。
テレビやDVDも見放題にした。
勉強もしなくていいことにした。
とにかく、私が帰ってくるまで、喧嘩をせずに楽しく過ごせるなら「何でもアリ」にした。
それでも淋しがる次女に、私は
「ホテルに着いたらスカイプしようね!」
「夜もずっとスカイプしよう!」
「ママの顔が見れるから大丈夫だよ!」
と励ました。
そして当日。
家の近所まで見送ってくれた長女と次女。
最後の最後まで「バイバーイ!」と手を振り
「明日ね!」
と言って出発した私と三女。
次女は泣き出すこともなく、このままのテンションで居てくれることを私は願った。
午前中、タイ大使館でVIZAの申請を終えた私は、ホテルに行き、パソコンをWifiに繋いだ。
しかし、電波が非常に悪い。。。
それでも何とかスカイプが繋がった!
最初に出た長女。
「ママ?!」
と嬉しそうだった。
淋しがっていた次女がスカイプに出て来ない。
次女の様子を聞くと、テレビに夢中だという。
私とのスカイプよりテレビに夢中とは。。。何よりだ!
よかったよかった!
逆に長女の方が
「ママ?。ずっとスカイプ繋いでおいてね。切れちゃったらすぐにかけて来てね。」
と心細いようだ。
しっかり者だし、長女だし、10歳だし。。。もうべったり甘えてくる年齢ではないが
精神的に一番私を必要としているのは、長女であろう。
夕方になり、お願いしていた日本人ママが我が家にやって来た様子。
私も夕飯を調達しに外出するため、一旦スカイプを切った。
夜7時半頃。
再び子供達からスカイプがかかって来た。
二人ともシャワーを浴び、歯磨きもして寝る準備を済ませたようだ。
「ママの言うとおり、ゴミ捨ても洗い物も掃除もエアコンのタイマーも全部やったよ!
あとは炊飯器のボタンを押すだけ!」
「妹が愚図らないように、今日はたくさん我慢したよー。だから喧嘩もしてないよ!」
と、頼もしい長女。
「本当にありがとう!あなたのおかげでママは全然心配しなくて済んだよ。
よくやってエライ!」
と私は褒めた。
途中で
「ママ???」
とたまに顔を出す次女。
テレビ三昧、お菓子三昧で、私がいなくても全然大丈夫そうだ。
それでも、寝る時間になると
「なんでママだけいないの?」
とグズグズ言い出した次女。
「二人が寝るまでスカイプ繋いでるから、もう寝なさい。」
と私は言った。
私は
「遅くまで起きていれば、横になったら淋しがるより先に眠ってしまうだろう」
と思って、いつもより遅くまでテレビを見ることを許した。
22時近くになり、子供達の寝室の電気が消え真っ暗になったのを確認し、私も横になった。
翌朝。
私はVIZAの心配事で早く目が覚めてしまった。
娘達は、昨夜は遅くまで起きてたから今朝は寝坊しているだろうと思った。
私と三女は朝食を食べにホテルのレストランへ行った。
一時間ほどして戻ってくると、スカイプが来た。
「おはよう!今起きたの?」
と長女に聞くと
「もう、とっくに起きてたよ!朝ごはんも二人で食べて、食器も洗ったよ!」
と言う。
おお?!スバラシイ!
「昨日は寝るのが遅かったから、ゆっくり寝坊すればよかったのに。」
と私が言うと
「なんかわからないけど、早く目が覚めちゃったの!」
と、言いながら、次女の髪の毛を結んであげている長女の姿が見えた。
妹の世話をよくやってくれる、面倒見のいい長女。
口うるさいところもあるが、妹を放っておけない優しさがある。
次に、長女が床の掃き掃除をしている姿が見えた。
私との約束を果たそうと、頑張っている様子だった。
その間、次女はテレビを見たり、外で自転車を乗り回したり、自由気ままである。。。
まあ、5歳児に期待することは「泣かずに留守番する」ことくらいだろう。
その時、もう一つのパソコンでは、子供達とパパでスカイプが繋がっていた。
私は子供達とのスカイプ越しに、パパとも顔を合わせることが出来た。
パパは日本、ママはラオス、娘達はタイ。。。
なんてまとまりのない、イヤ、インターナショナルな我が家。。。
それでもこうして3カ国に散らばった家族が顔を見ながら話が出来るなんて
便利な世の中だなあと思うと同時に不思議な気持ちになった。
チェックアウトの時間が迫って来た。
私は
「次はお家で会おうね!後でね!」
と 言って、スカイプを切った。
午前中も午後も、タイ大使館に出向き、一悶着あったVIZA申請であったが
何とかVIZAを受け取ることが出来た。
VIZAを受け取った私と三女は、一目散に帰路についた。
何度も繰り返したタイとラオスの出入国を済ませ、タイに戻った。
予定より早めに戻って来れたので、サムローとソンテオを乗り継ぎ、時間はかかるが安く済ませようかと
考えたが、サムローのおじちゃんに高い料金を吹っかけられ、交渉したが値下げしてくれず
アタマに来たので、やっぱりタクシーで帰ることにした。
家の前でタクシーを降りると、子供達と日本人ママが出迎えてくれた。
「ママ!おかえり!」
と娘達と私は抱き合って再会を喜んだ。
長女はすぐ大家さんを呼びに行き
「メー ガッバーン (お母さん、帰って来た)」
と大声で叫んだ。
日本人ママや大家さんにお礼をし、VIZAが取れた報告をした。
いつもの我が家に戻った夕飯時。
私と三女が不在中の話をたくさんしてくれた長女。
日本人ママさんに、遠くのアイス屋さんに連れて行ってもらったり、夕飯はカウマンガイを食べたことや
大家さんに、トウモロコシやもち米を差し入れてもらったこと、など。
妹が、一日中テレビを見ていたこと、お菓子ばかり食べていたことも、報告してくれた。
確かに、冷蔵庫の中のお菓子がかなり減っている。。。
あれほど淋しがっていた次女は、テレビとお菓子でママの存在を忘れていたのか
私が帰って来ても、喜んだのは一瞬で、いつも通り駄々をこねたりワガママを言ったり
いつもと変わらないままであった。
「私ね、ママが毎日やってることが大体わかるから、ママみたいにやったよ。
ご飯のとき、テーブル拭いたり、コップにお水をいれたり。
でも、ママが帰って来てよかった!全部ママがやってくれるから!」
と話してくれた長女。
たまにはママの大変さを体験するのもいいことかもしれない。
そして
「夜ご飯のとき、日本人ママがジュースを買ってくれたんだけど
ご飯の前に飲むとご飯が食べられなくなるから、私と妹はデザートに飲んだんだよ。」
と教えてくれた長女。
私がいつも
「食事の前に甘いものを食べるとお腹いっぱいになってご飯がたべられなくなるからやめようね。」
と言ってることが、ちゃんと身についている!
「自分で考え、判断できる子」に育ちつつある長女。
とっても嬉しかった。
次女はまだ、誘惑に負けてしまうが、それでもお姉ちゃんの言うことを聞いて
ジュースはデザートまで我慢出来たそうだ。
がんばったね!!
日本人ママや大家さんの協力はもちろんのこと、娘2人の頑張りのおかげで
私と三女のVIZAが取れたと言えるだろう。
感謝、感謝である。
二日間、子供達なりに緊張し疲れた様子。
私が帰宅した翌日は、一歩も外に出たがらず、リカちゃん人形遊びで家にこもっていた長女と次女。
りか3
夜更かしのツケが回ってきたのか、次女は19時に寝てしまった。
ママがいない二日間。
初めてのお留守番。
「たいへんよく出来ました」と100点満点をつけてあげたいワタシである。。。
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